ギターの木材が何ですか?

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毎度ご愛読ありがとうございます。
リペア担当の平です。

今年の冬はとても寒いです。
足先が冷たいです。

さて今回はギターに使用される木材についてのお話です。

「アコースティックギターはまだしも、
エレキギターは電気で音を出してるんだから
木材なんて何でもいいじゃないの?」

と思っている方も多いのではないでしょうか。

このブログでも幾度となくピックアップや
サーキットについての記事を書いてきていますし、
それらが重要なことに違いはありません。

しかし、エレキギターにおいても、
木材はギターの礎ともいえる、とても重要なファクターなのです。


まずギターを評価するうえで、
大まかに3つの観点に分けることができます。

それは、
「サウンド」「プレイアビリティ」「ルックス」
です。

ギターは楽器なので当然音は重要ですよね。
演奏しやすいこともまた然り。
そしてもちろんルックスも大事です。

個人的にはギターを選ぶ際の上記観点の重要度は、
2:2:6 ぐらいの割合でルックスを重視しています。

初心者の方も、「最初は見た目で選んでいい」
と周りから助言をもらったかもしれませんが、
それはどこまで行っても変わりません。

ギターはただ音を奏でるだけの道具ではなく、
ステージ上を華やかに飾ることもまた仕事なのです。

ではこの3つの要素に対して、
木材がどのように影響するのか考えていきましょう。


まずは、「サウンド」についてです。

音の正体が振動だということは、
中学校の理科の授業をまじめに受けていれば理解できるかと思います。

そして木材には、共振しやすい帯域の特性
「音響特性」というものがあります。

これは、高い音では良く振動するけど低い音ではあまり振動しない、
というようなもので、木材の種類や個体によって様々です。

例として、ギターに使われるポピュラーな木材、
アルダーでは、中低音が良く響きこしのあるサウンド、
アッシュでは、高音域が明瞭で太く芯のあるサウンドの傾向があります。

エレキギターでは弦の振動が電気信号に変換され音になるわけですが、
弦の振動はネックを揺らし、ボディを揺らし、また弦に返ってきます。

さらにここで重要なポイントは、
生音(電気信号になる前の音)で鳴っていない音は、
電気信号になっても再生できないということです。

「エレキギターの音はアンプやエフェクターでどんな音にでもできる」
と思っている方もいるかもしれませんが、これは増幅と減衰の変化であって、
無い音を創造することはできません。

つまり、使用する木材によって、
ギターのサウンドの方向性は大きく左右されるのです。

また、良く響く木材やあまり響かない木材、
気持ちいい帯域で響く木材とそうでない木材など、
音の良し悪しも生まれてきます。

これは木材の価格に比例する部分があるので、
必然的にギターの価格がサウンドのグレードに関わってきます。

もちろん全てが個性であり、音の良し悪しは聴く人の感性にゆだねられますが。


次に「プレイアビリティ」について考えてみましょう。

演奏するうえで重要なのは、機体の精度と重量でしょうか。

精度とは、ネックが真っ直ぐかどうかであったり、
良好な状態を維持できているか、ということにしましょう。

ネックが反っていたりどこか破損していた場合、
演奏しにくいですし音にも悪影響が出ます。

重量については、重たすぎると長時間の演奏がつらいですし、
ボディとネックの重量バランスによっては、 ストラップで担いだ際に、
ヘッド側に傾いてしまう「ヘッド落ち」という症状にもつながります。

重量は木材の種類でおおよその傾向がありますが、
精度については、木材の種類ではなく、
木材の質や製造工程の違いが影響してきます。

よく乾燥された木材で狂い出しを行いながら丁寧に製作したり、
ネックが反った場合でもしっかりと調整できるように設計したりと、
各メーカーのこだわりが生きるポイントになります。

また、やはりこの点に関しても、精度の高いものほど手が込んでいますので、
比例して価格も高額になっていきます。


そして最後に「ルックス」について。

先に述べたように個人的にはここが一番重視しているポイントなのですが、
木材は楽器の印象を決定づける大部分を担っています。

ギターの魅力は何といってもその木目です。

木材は言わずもがな自然物ですので、同じ木目のものは一つと存在しません。
それぞれが世界に一つだけの顔を持っているのです。

木材の種類によって、木目の濃いもの、激しいもの、おしとやかなもの、
木肌の色味が濃いもの、白っぽいもの、独特な色合いのものまで、様々です。

また、木には木目だけでなく、杢(もく)というものがあります。

杢とは簡単に言えば繊維のゆがみによる模様で、
メジャーなものでは、フレイムやキルトと名前に付くものが、
この杢の出ている木材になります。

杢は、通常の木目と違い、見る角度によって見え方が変わるため、
立体感があり、より幻想的な雰囲気を醸し出します。

なお、特殊な模様の出ている木材は高級家具にも仕様され、
様々な分野で重宝されますので、当然価格も高額になります。


以上、3つの観点から、ギターにおける木材の価値についてお話しましたが、
結局、良い木材は高価だというところにたどり着きました。

また、近年では希少な木材の輸入規制が厳しくなったり、
質の高い木材の数も少なくなっているため、楽器に使える木材のグレードは
昔よりも低くなっており、より価格が高騰してしまっています。

しかしそんな環境の中でも、人工の代替材の開発や、製作技術の進歩により、
昔に引けを取らないギターを作り続けています。


話が脱線してきましたが、結局のところ、
木材は重要ですが、製作技術もまた重要ということです。

ギターを選ぶ際は、ルックスの気に入ったものに目星をつけ、
木材でおおよその音のキャラクターを絞りつつ、
製作技術に信頼のおけるブランドのものを購入しましょう。

以上ギター選び講座でした。



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