
ギター選びの為のピックアップ入門編
ギターを始めて購入される方や、2本目のギターの購入を検討されている方向けにピックアップについて簡単に解説させていただきます。
1、そもそもピックアップとは
2、なぜピックアップは複数ついているのか
3、いろいろなピックアップの種類
4、自分にあったピックアップレイアウトの選び方
1、ピックアップってなあに
この項ではピックアップとは何かについて説明させていただきます。
端的にまとめさせていただきますと、エレキギター用のマイクです。
これが無くてはアンプやエフェクターに音を出力させることができず、
エレキギターには必須の部品の一つです。
代表的なものとしてはシングルコイル、ハムバッカーの2つがあります。
その他にも多様な種類のピックアップがありますが、構造上は上記の2種のどちらかに区分することができるものがほとんどです。

シングルコイルが3つ搭載されたギター
https://www.youtube.com/watch?v=xbuvf6fs9bM

https://www.youtube.com/watch?v=-SF8J_e7ecY
ピックアップのメーカーや製造方法によって、実際にはピックアップの音は大きくことなるのですが、一般的な音のイメージは下記のようなものになります。
シングルコイル:高音域がしっかりでたチャリンとした音で、低出力なものが多い
また、構造上ノイズを除去することができない為、使用環境によっては外来ノイズの影響を受けやすい。
クリーンサウンドが綺麗に出力され、少し歪ませた音作りの時にも音の分離がよく、コード等を鳴らしやすい。
反面、強く歪ませた際には構造上ノイズが多くなりがちで、音は強く歪ませても飽和感は少ない。
ハムバッカー:シングルコイルを2つ並べたような形状。
倍音と中低域のでる甘くて太い傾向の音、中~高出力なものが多い 。
構造上、2つのコイルでノイズを打ち消しあうことができるので、外来ノイズに強い
クリーンサウンド時も太く甘いタイプの音で、歪ませると音がさらに太く甘くなりやすい。
強く歪ませた際にもノイズはある程度抑えられる為、しっかりと歪ませたロック向けのサウンドにも対応しやすい。
反面、音が太いのでコードなどを弾いた際に音が太い為、コード音が濁りがちになってしまう場合がある。
実際にはシングルコイルでも高出力なもので、低域が強く高域の弱いものや、
ハムバッカーでも高域が強く出力の低いもの等様々ですが、エントリーモデル等に搭載されているピックアップは概ね上記のような傾向にあるように感じます。
2、なぜピックアップ複数あるの。
この項では、ピックアップがなぜ複数取り付けられているかについてご説明いたします。
こちらに関しましては、ピックアップの取り付けられている位置によって、
音に大きな違いが生じるからです。
ブリッジ側から、リア(ピックアップ)
↓
センターピックアップ
↓
フロント(ネック)ピックアップ
ギターによってはセンターが無いモデルや、リアしかないモデル、フロントのみのモデル等バリエーションがあります。


ブリッジ側に近いほど、弦の振幅が小さくなるため、音が硬く高音の強い音になり、ネック側に近いほど、振幅が大きくなるため甘く、太い音になります。
このことは音質だけでなく、音量にも大きな影響を与えます。
振幅が大きいほど、音量も大きくなりますのでリア(ブリッジ)ピックアップはフロント(ネック)ピックアップよりも出力をやや高めに設計する場合が多くあります。
3、いろいろなピックアップの種類
エレキギターのピックアップとして代表的なものといたしましては、
上でご紹介させていただきましたシングルコイルとハムバッカーが2大巨塔となりますが、それ以外にも様々なバリエーションが存在しますので、その一部をご紹介させていただきます。
テレキャスタイプのシングルコイル

https://www.youtube.com/watch?v=zxOKFru17Jc
ストラトキャスタータイプに搭載されていたシングルコイルと基本的な構造は同じですが、ピックアップ自体の形状や底面のプレートの有無、取り付けられているブリッジプレートや金属カバーの影響により出音は大きく異なっています。
一般的にテレキャスターのリアPUはストラトのものよりも、より高域の強い音というイメージがあります。
また、フロントPUは金属カバーの影響により、ノイズにやや強くなっていますが高域成分がより抑えられた甘い音の傾向が強いものが多くあります。
P-90

https://www.youtube.com/watch?v=pPXZvdX_X7g
シングルコイルのバリエーションの一つといえるピックアップで、
形状も大きく異なっています。
形状や取り付け方法にも、ソープバーと呼ばれるものや、ドッグイヤーと呼ばれるものなどバリエーションがあります。

音も通常のシングルコイルが高音より、シャリンとしたトーンなのに対し
P-90は音が甘めで太い傾向にあり、出力も通常のシングルコイルに比べ高いものが多くなっています。
ハムバッカーとシングルコイルの中間に位置するトーンバランスと一般的に認知されているピックアップです。
P-90をテレキャスタータイプのフロントに使用する利点として、
一般的なテレキャスターのリアPUが高域が強く派手な音なのに対し、
一般的なテレキャスターのフロントPUは音が甘く、金属カバーの影響により高さをあげても弦との距離を稼ぎにくい為にリアとフロントの音量差が強くなってしまう問題点を解消できるというポイントがあります。
ジャズマスタータイプのシングルコイル
一般的にはジャズマスタータイプにもシングルコイルが搭載されています。

ジャズマスタータイプのシングルコイルも、分類としてはシングルコイルになりますが、ストラトのものとはやはり構造が少しことなっています。
また、サイズ自体も通常のシングルコイルよりも大きくP-90寄りの外観となっていますが、音の傾向もP-90に近いものになっています。
通常のシングルコイルに比べ、ピックアップ自体はやや出力が大きく甘めの音の傾向がありますが、内部のポットなどの定数の影響により高域もしっかりとしたジャキジャキした音という印象が一般的にはあります。
ピックアップのバリエーションの一部を紹介させていただきましたが、
この他にもフィルタートロンや別枠としてピエゾピックアップ等様々なバリエー ションがあります。
他にもピックアップの用語としてよく目にするものとして、
パッシブ/アクティブという用語がありますが、こちらに関しましてはまた別の機会にご紹介させていただきます。
パッシブであろうとアクティブであろうと、元となるピックアップ自体は基本的にはほぼ変わりがありません。
近年ではレースセンサーやアルミトーンといった、いままでのピックアップの常識とは異なった方式で作られたピックアップもありますので、興味がある方は調べていただけると面白いかと思います。
4、自分にあったピックアップの選び方
では最後に、簡単などのようなピックアップレイアウトのギターを選べばよいかについて触れてみたいと思います。
上の項目にてピックアップの種類ごとに大まかな音の傾向があることはご紹介させていただきました。
基本的には自分のやりたい音楽にあわせて、自分の好きなアーティストがつかっているギターのピックアップのレイアウトをこのブログ上から照らし合わせてみて、同じものを選んでみるのも手段の一つです。
また自分が歪んだ音をよく使うか、どの程度音を歪ませるかによってはピックアップ選びはかなり重要になってきます。
出力のある程度高いハムバッカーピックアップを使用した場合でも、VOLの操作等でクリーントーンもある程度のカバーが効きますが、
一般的な傾向のシングルコイルを使用した場合、ゲインを高く設定するハイゲインサウンドを作ろうとした際に、強烈なノイズや細い音に悩まされてしまう場合が多々あります。
ハードなロックなどをガンガンに歪ませてプレイしたい方にはハムバッカータイプのギターを基本的にはお勧めいたします。
ハードロックなどでは歪んだ音で甘いトーンのリードトーンやソロを弾く機会も多い為、2ハムバッカーのモデルが候補としてはあがります。
また、クリーントーンはフロントやセンターのシングルコイルで、
歪んだロックな音はリアのハムバッカーで対応するといったSSHと呼ばれるレイアウトのギターも存在します。

こちらはその両方をカバーしてくれます。
反面、弱点としてはシングルコイルとハムバッカーで音量差が大きくでてしまい、音量バランスをとるための高さ調整が難しくなってしまうことが挙げられます。
ピックアップの高さも好みの部分が大きい要素の一つですが、シングルコイルとのバランスをとるためにハムバッカーの高さを低くしてしまうことでハムバッカーの良さがだせなかったり、またその逆だったりといったジレンマもあります。
また、やはりクリーントーンも甘い音がいい場合や、リードで甘く太い音を出したい場合などは2ハムバッカーのモデルのほうが有利な場合もあります。
皆様のピックアップレイアウト選びの参考にしていただけましたら幸いです。
他にもギターの内部や改造に興味がある人には配線材やポットも特集していますので良ければご覧下さいませ。
そのほかのリペアや、ユニバースシリーズを改造してみたシリーズはこちら!
http://soarmusic.com/works/
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